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みんなで乗り越えましょう。
指原莉乃

豪雨災害をきっかけに、新しい希望が湧く温泉街

湯平温泉観光協会 事務局長 「ゆのひら上柳屋」 古長康行, 「白雲荘」 横尾尚一

湯平温泉 元気になりました

豪雨被災から立ち上がるまで

2020年7月8日、記録的な大雨の夜を長男の家に避難して過ごした翌日、旅館「白雲荘」に戻ると、1階部分が約1メートル冠水し泥に塗れている状態でした。水はすでに引いていましたが、旅館の裏の川沿いにあった共同温泉「砂湯」が流され、建物が砂湯橋にせき止められて濁流が溢れたようです。

今までに経験したことのない被害に唖然としました。しかしすぐに近所の人や地元の消防団の方たちが集まって片付けを手伝ってくれました。汚れて使えなくなった畳や家財を運び出すことはもちろん、水道や消火栓などは使用できなかったので、近くにある用水路から可搬ポンプで水をとって溜まっていた泥を2日間かけてすべて流し出してくれました。大掛かりな片付けを地元の方々が協力してくださって本当に感謝しています。

それから、馴染みのお客様などからは電話やお手紙でたくさんの励ましの言葉をいただきました。義援金を届けてくださった方もいらっしゃって、応援してくださる皆様のことを思うと、気持ちを切り替えてとにかく一生懸命に旅館を立て直そうという気持ちに火がつきました。

希望に満ちたリニューアルオープンに向けて

被災後、約4ヶ月に及ぶ休業期間をいただきましたが、2020年12月16日に再開した新しい白雲荘は、お客様にゆっくり楽しんで満足していただきたいという想いを実現できる体制にシフトしました。

リニューアルに力を貸してくださった湯布院町の惣間建設さんは、三代目が息子と同級生というご縁があり、泥汚れが一通り片付いたあとに電気設備等の点検をしにきてくれました。被災した一階部分はやはりいろいろと傷んでいましたし、もともと古くなっていた部分もありましたので、改築もお願いすることになりました。
せっかくなので以前から気になっていたところを改善して、これまでよりもっとお客様に寛いでいただけるようにしようと相談していくうちに、私たちの考えに加え色々なアイデアを提案していただいて、大胆な改築へと話が進んでいきました。

被災した時にはどうなることかと思いましたが、どうやって新体制にしていくかと考えていくうちに、日々の活力が生まれました。今考えてみると、被災したことを忘れるくらいに前向きな気持ちで再開に向けて取り組んできたと思います。湯平全体が大きなダメージを受けて本当に大変な出来事でしたが、多くの方々から応援していただいたことで、「新しい白雲荘としてやっていこう」と奮起する良い機会になったと思います。

“新しいおもてなし”でこれまで以上に満足していただける旅館へ

新しくなった白雲荘は、まず1階にお食事処を新設しました。コロナ禍ということも考慮し、お客様同士が重ならないような工夫もしています。それから、大浴場は2つにわけて貸切り風呂に改築しました。岩風呂と檜風呂の違った雰囲気を楽しんでいただけるようになっています。
また、2・3階の客室部分は被災からは免れましたが、この機会により居心地の良い旅館にしようということで、元は6室あった客室数を5室に減らして、寛ぎのスペースを広くとった二間続きの部屋と和洋室の新しいお部屋をつくりました。建具や照明等の内装も新しいものを取り入れて、お客様に「心ゆくまでお寛ぎくださいね」という気持ちで自信を持ってご案内できるような良い形になったと思います。これからは新たな客層にもアプローチしていけると思っています。

実はここ10年くらい、観光客が減少して下火の時代が続いていたので、今までのやり方を変えないといけないとは思っていました。しかし年齢的なものもあり、なかなか実行する力がありませんでした。
今回のことで、お客様のためにというのはもちろんのこと、私たちにとっても気持ちよく働ける環境にすることができ、気持ちに余裕ができました。例えば、以前は2階へお食事を配膳しておりましたので、階段の上り下りがとても大変でしたが、今は格段にスムーズです。より丁寧におもてなししようという想いもおのずと高まり、日々のやりがいを感じています。

また、以前から週末になると近くにいる子どもたちが手伝いに帰ってきてくれるのですが、今回、新しい白雲荘の再開に向けて家族が一致団結してやってきたということにも張り合いを感じています。
これまでの馴染みのお客様も、新しい白雲荘のスタートを喜んでくださっていることが何より嬉しいことの一つです。わたしたち自身もやはり湯平が好きなので、改めてこれからもがんばろうという意欲が湧いています。

風情ある温泉街で、新しい湯平の文化を

湯平温泉観光協会では、2020年11月29日に初めてのコスプレイベントを開催しました。
「旅館つるや隠宅」の公式キャラクター「電脳女将・千鶴」や、湯平温泉のPRキャラクター「温泉むすめ 湯平燈華(ゆのひらとうか)」を考案し、「新しいチャレンジで湯平を盛り上げたい」と、この企画を引っ張ってくれていた渡辺健太くん一家が、残念ながら豪雨で亡くなってしまいました。今回の被災は本当に辛い出来事ですが、彼の思いを引き継いで必ずイベントを開催しようと、湯平全体が一つの想いで準備してきました。「泉都別府コスプレ組合」の協力を得て、無事に開催することができ本当に嬉しく思います。
また翌週の12月6日には、県の支援による新しいイベント「神楽祭」を開催しました。嬉しいことにどちらのイベントも予想以上の来客で賑わいました。新しい客層が湯平を訪れるきっかけとなりますし、毎年継続してイベント開催して新たな湯平ファンを増やしていきたいと思います。

今後の計画としては、メイン通りの石畳の中に賑わいを創出していきたい考えがあり、まずは湯平温泉のシンボルとなっている提灯の架替えを検討しています。
現在、3月初旬の再開に向けて工事進行中の旅館「高尾荘」が再開すれば、湯平温泉全体の再スタートということにもなりますので、復興イベントができないかということも話をしています。
また5つあった共同温泉はすべてが被災し、現在もまだ決められた時間内、地域の方のみの利用に限っており、仮復旧の状態です。早く一般のお客様にも利用していただけるようにしたいと思っています。

コロナ禍に対応したこれまでのイベントに代わるものを考えていかなければならないので、工夫が必要ですが、何かみんなを元気づけるようなことができれば良いなと思っています。もともとまとまりのある地域ではありますが、これまで以上に結束力を強めて、活気のある温泉街を取り戻せるよう頑張っていきたいと思います。世の中の状況も復興に関してもまだ大変な道のりではありますが、私たちにとっても新しい世代の湯平温泉文化をつくっていくことが楽しみです。

昨年の豪雨被害を受け、これから湯平温泉全体としてどうしていくのかとみんなで話し合う機会が増えました。困難な状況に陥ったときこそ、繋がりやアイデアが生まれるきっかけになるとも言えるかもしれません。

「寅さん」シリーズのゆかりの地である湯平温泉。
被災地復興応援として、映画制作チームより、山田洋次監督や同作出演者の田中裕子さん、沢田研二さんの直筆応援メッセージが書き込まれた寅さんの等身大パネルが贈られた。
右は湯平温泉のPRキャラクター「温泉むすめ 湯平燈華」。観光案内所に設置中。

取材先情報

湯平温泉観光協会

江戸時代から残る石畳の坂道と提灯が風情ある温泉街。胃腸病などに効能があるとされ、日本有数の名湯として多くの湯治客を癒してきた。
新しいイベント開催等で地域の魅力を元気に発信中。

旅館 白雲荘

石畳通りに面する1日限定5組のアットホームな旅館。豪雨被害を乗り越えて、これまで以上のくつろぎを提供する体制を整えリニューアルオープン。第30作「花も嵐も寅次郎」の湯平荘のモデル旅館。

〒879-5112 大分県由布市湯布院町湯平344
tel. 0977-86-2411

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